火曜日, 10月 24, 2006

大学院中間発表


この日、MDP初の経過及び成果発表として、野々山隊長は大学院中間発表に臨んだ。
また、今回の大学院中間発表は武蔵工業大学の目指す「学際」という思想に則り、様々な分野の教授や学生がオーディエンスとして聴いている中での発表となった。今回の発表では、MDPの一員である本学4年齊藤の、解釈共有ツール「Re : ronbun」も併せて紹介された。

異種混淆のネットワークのデザイン
「我々が扱っているのはシステム全体であり、個々に孤立した製品のデザインではない。」
これはアップルコンピュータ社のジョナサン・アイブの台詞である。この言葉を一番最初のスライドに引用し、続いてiPodを事例として紹介した。このことで、野々山隊長の修士論文のテーマである「多層的な知識、関心を表現するドキュメントのデザイン」の目的は異種混淆のネットワークのデザインにある、ということを主張した。さらに先にも述べたように、今回の大学院中間発表は、様々な分野の教授や学生がオーディエンスとして聴いているため、iPodやアイブの台詞などの身近な例を用いて、様々なオーディエンスの興味をひきながら、自分たちの思想を分かってもらえるようにとの意図があったのである。

人工物のデザインを通して活動全体のデザイン、再デザインを目指す
iPodの事例に続いて、彼のデザインするツーリングマップ「EX-R」の話に移っていく。野々山隊長は、人工物のデザインを通して活動全体のデザイン・再デザインを目指すと言及した。つまり「EX-R」によって、 知識、経験を今よりシステマチックにシェアし、それが、コミュニケーションの強化につながる。それによって、同学年、上下のつながりや活動の変化が期待できるという。このことが、人工物のデザインだけではないネットワークのデザインであるということを述べた。

今回得たこと
今回の大学院中間発表は、発表8分、質疑応答3分と、短い時間ではあったが、その中で、主張が明確に伝わるようなプレゼンづくり、例えば、ジョナサン・アイブの下りは非常にいい例だと感じた。このような例一つをとっても個人的には学ぶことが多かった。

地図の情報エコロジーとシステムのデザイン


2006.10.04(Wed)MDPの一員の澤田浩二さんは本学上野直樹教授のアシスタントとして「情報エコロジー」という授業を通して、情報エコロジーのデザイン、つまりはシステム全体のデザインであることを学生たちに投げかけた。

情報エコロジーという授業は武蔵工業大学の情報メディア学科2年生の授業で、“情報や情報システムが社会や環境の一部であり、それとは切り離せないものである”という視点から多様な領域の研究者が講義する。

iPodのネットワークシステムと情報エコロジー
今回の授業で具体例として紹介されたiPodは誰もが知っているポータブル音楽プレーヤだが、この製品デザインを担当しているのがアップルコンピュータ社のインダストリアルデザイン担当 上級副社長であるジョナサン・アイヴであり、「我々が扱っているのは、システム全体であり、個々に孤立した製品のデザインではない」という言葉を残している。(AXIS 2006.10)
iPodやそのユーザー、iTune、PCはもちろん、著作権やミュージシャン、流通業などのネットワークをデザインすることで、今までの音楽へのアクセスの構造を変えることに成功している。

LINDA Pro.の情報エコロジー
澤田さんは、ライブハウスの情報エコロジーを“場所性”というキーワード、つまりライブハウス、アマチュアミュージシャンやファンが自ら立てるサイトや、音源やムービーなどのネットワークのデザインをすることを目指し、Lindaというサイトを立ち上げた。
このサイトによって音楽をめぐる新たな情報エコロジーのデザインが可能で、ミュージシャン同士、ファン同士、またはミュージシャンとファンの間でのコミュニティの形成やネットワークの発展が期待できるという。
道具をデザインすることは、道具単体のデザインにとどまらずそれを使用する活動や、場面、活動の背後にあるネットワークをデザインすることに他ならないことを述べた。